Google Antigravityは、2025年11月にGoogleが公開したエージェントファーストの開発プラットフォームだ。Gemini 3をベースにしたAIエージェントが、コードの計画・実装・実行・検証を自律的にこなす。
この記事では、8GBメモリのPCでもAntigravityを動かす方法から、Discord/Slackとの連携、そしてGoogleアカウントBANを避けるための有料API設定まで、セットアップの全工程を解説する。
結論:8GB PCでもAIエージェントは動く
最初に結論を述べる。
- Antigravityの公式最低要件はRAM 4GB。8GBなら動く
- GPUは不要(Electronベースのためディスクリートなし可)
- ただし8GBだとインデックス作成時に不安定になる報告あり。16GB推奨
- 無料で使える(2026年2月時点、パブリックプレビュー中)
- GoogleアカウントBANリスクがあるため、対策が必須
この記事の通りに設定すれば、低スペックPCでもAIエージェントを安全に使える環境が手に入る。
Antigravityとは何か
Antigravityは、VS CodeベースのエディタにAIエージェント機能を統合した開発環境だ。従来のAIコーディングツール(GitHub Copilotなど)が「補完」を中心としていたのに対し、Antigravityは「タスク全体の自律実行」を目指している。
できること:
| カテゴリ | 具体例 |
|---|---|
| コード実装 | 「〇〇を実装して」と指示するだけで、ファイル作成・テスト実行まで自律実行 |
| UI変更 | コード修正 → ブラウザでスクリーンショット確認まで自動 |
| テスト生成 | 全メソッドのユニットテストを一括生成 |
| バグ修正 | 再現 → テスト → 修正 → 検証をバックグラウンドで実行 |
| マルチエージェント | 複数タスクを並行実行 |
競合としてはClaude CodeやCursorがあるが、AntigravityはGemini 3の長大なコンテキスト(最大100万トークン)を活かした大規模プロジェクト処理に強みがある。
システム要件
公式最低要件
| 項目 | Windows | macOS | Linux |
|---|---|---|---|
| OS | Windows 10以降 | macOS 10.15 (Catalina)以降 | Ubuntu 20.04+相当 |
| RAM | 4GB | 4GB | 4GB |
| ストレージ | 500MB | 500MB | 500MB |
実用上の推奨
- 8GB RAM: 最低限動作するが、コードインデックス作成時にクラッシュのリスクあり
- 16GB RAM: 安定動作のための推奨スペック
- GPU: 不要。Electronベースのアプリなので、GPUなしでも動く
- GPU関連でクラッシュする場合は
--disable-gpuフラグで回避可能
8GBで安定させるコツ:
- 不要なアプリケーションを閉じてからAntigravityを起動する
- プロジェクトの規模が大きい場合は
.antigravityignoreファイルでインデックス対象を絞る - ハードウェアアクセラレーションを無効化する(Settings → 「hardware acceleration」で検索)
インストール手順
ダウンロード
公式サイトからインストーラーをダウンロードする。
- 公式: antigravity.google/download
- Windows:
.exeインストーラー - macOS:
.dmgファイル - Linux:
.deb/.rpmパッケージ
ZIPファイルではなく、通常のインストーラー形式だ。
Windowsでのインストール
- ダウンロードした
.exeを実行 - デフォルトのインストール先(
C:\Program Files\Google\Antigravity)で問題なければそのまま進める - アプリを起動
初回セットアップ
起動するとセットアップウィザードが表示される。
- 設定のインポート: VS Code / Cursorから設定をインポートするか、クリーン設定で開始するかを選択
- テーマ選択: ダーク / ライトを選ぶ
- エージェントポリシー: ターミナル操作やJS実行の許可範囲を設定
- Googleアカウントでサインイン: ブラウザが開くのでGmailでログイン
- CLIツール
agyのインストール(推奨): ターミナルからAntigravityを操作するためのコマンドラインツール
サインインが完了すると、Gemini 3 Proが無料で使えるようになる。
日本語化
Antigravityはそのままでは英語UIだ。日本語にするには:
- サイドバーのExtensions(拡張機能)アイコンをクリック
- 検索欄に
Japanese Language Packと入力 - Microsoft製の「Japanese Language Pack for Visual Studio Code」をInstall
- 再起動後、メニューが日本語に変わる
それでも英語のままの場合:
Ctrl + Shift + P → Configure Display Language → ja (日本語) を選択して再起動。
AIの回答を日本語にする
UIの日本語化とは別に、AIエージェントの回答言語も設定する必要がある。
- Agentウィンドウを開く
...ボタン → 「Customizations」を選択GEMINI.mdに以下を追記:
日本語で回答してください。
- 保存して完了
GoogleアカウントBANリスクと対策
これが最も重要なセクションだ。
2026年2月のBAN事例
2026年2月12〜14日、Googleが大規模なアカウントBANを実施した。月額$249.99のAI Ultra有料ユーザーを含む多数のアカウントが警告なし・返金なしで停止された。
BANされるとGmail・YouTube・Drive・Photosなど、Googleサービス全体へのアクセスを失う。
BANの主な原因
| 原因 | リスク度 |
|---|---|
| OpenClawなど第三者ツールがAntigravityのOAuthトークンを流用 | 最高 |
| API制限の迂回(プロキシ経由など) | 高 |
| Gemini拡張機能の過剰使用 | 中 |
核心は「Antigravityの内部OAuthトークンを第三者ツールに渡す行為」がAPI制限の迂回と見なされることだ。OpenClawの作者も「Antigravityサポートを終了する」と発表している。
BAN対策(5つのルール)
1. OpenClaw等の第三者ツールをAntigravity経由で使わない
AntigravityのOAuthトークンを抜き出して他のツールに渡すプロキシ系ツール(antigravity-claude-proxyなど)は絶対に使わない。
2. 有料のGemini APIキーを使う
これが最も安全な方法だ。
- Google AI Studioにアクセス
- APIキーを発行(クレジットカード登録が必要)
- Antigravityの Settings → Models → API Keys からキーを設定
有料APIを使えば、Google側が提供する正規のリクエストルートを通るため、BANリスクが大幅に下がる。
3. アカウントを分離する
AI開発専用のGoogleアカウントを作成し、個人用のGmailアカウントとは完全に分離する。万が一BANされても、個人のメール・写真・ドライブが巻き込まれない。
4. レート制限を意識する
無料枠の場合、Gemini APIには以下の制限がある:
| モデル | RPM (1分あたり) | RPD (1日あたり) |
|---|---|---|
| Gemini 2.5 Pro | 5 | 100 |
| Gemini 2.5 Flash | 10 | 250 |
これを超えるペースでリクエストを送ると危険。有料APIならこの制限が大幅に緩和される。
5. 利用規約を定期的に確認する
ToSに明示的に禁止されていなくても、Googleのシステムが「計算資源の不当な占有」と判断すれば自動BANされる。「書いていないからセーフ」とは思わないこと。
有料API(Gemini API)の設定方法
BAN対策として最も確実なのが、自分のGemini APIキーを設定する方法だ。
料金表
| モデル | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) |
|---|---|---|
| Gemini 2.5 Flash-Lite | $0.10 | $0.40 |
| Gemini 2.5 Flash | $0.30 | $2.50 |
| Gemini 3 Flash Preview | $0.50 | $3.00 |
| Gemini 2.5 Pro | $1.25 | $10.00 |
| Gemini 3 Pro Preview | $2.00 | $12.00 |
個人開発者であれば、Gemini 2.5 Flashを使えば月$5以下で収まるケースが多い。コスト感についてはLLM API料金比較も参考にしてほしい。
APIキーの取得と設定
Step 1: Google AI Studioでキーを発行
- aistudio.google.comにアクセス
- Googleアカウントでログイン
- 左メニューの「Get API key」をクリック
- 「Create API key in new project」でキーを生成
- 表示されたキーをコピー
Step 2: Antigravityに設定
- Antigravityの設定を開く(
Ctrl + ,) - 検索欄に「API key」と入力
- 「Gemini API Key」の欄にコピーしたキーを貼り付け
- モデル選択でGemini 2.5 FlashやGemini 3 Proを選択
Step 3: 課金アラートの設定(推奨)
Google Cloud Consoleでbudget alertを設定しておくと、予想外の課金を防げる。
- console.cloud.google.comにアクセス
- 「Billing」→「Budgets & alerts」
- 月額上限(例: $10)を設定
- 80%到達時にメール通知を有効化
Discord / Slack連携の設定
Antigravityには公式のDiscord/Slackプラグインはないが、MCP(Model Context Protocol)サーバーを使って連携できる。
Slack連携手順
- AgentセッションのサイドパネルからMCP Serversを選択
- Manage MCP Servers → View raw configをクリック
mcp_config.jsonに以下を追記:
{
"mcpServers":{
"slack":{
"command":"npx",
"args":["-y","@modelcontextprotocol/server-slack"],
"env":{
"SLACK_BOT_TOKEN":"xoxb-your-token",
"SLACK_TEAM_ID":"your-team-id"
}
}
}
}
- Refreshボタンで設定を読み込む
- エージェントがチャンネル一覧取得・メッセージ送信などを自然言語で実行できるようになる
Discord連携
Discord用の公式MCPサーバーは現時点で提供されていないが、以下の方法で連携できる:
- カスタムMCPサーバーを作成して
mcp_config.jsonに追加 - エージェントに「Discord Botを作って」と指示して自動構築させる
より本格的なDiscord/Slack連携を求める場合は、次のセクションで紹介するOpenClaw系ツールが適している。
OpenClaw系ツール:チャットアプリ連携の決定版
Antigravity単体のMCP連携では物足りない場合、OpenClaw系のツールがDiscord/Slack/WhatsApp/Telegramとの連携に特化している。
OpenClaw(本家)
- 対応チャネル: WhatsApp, Telegram, Slack, Discord, Google Chat, Signal, iMessage, Teams, WebChat
- 言語: TypeScript (Node.js)
- メモリ: 100MB+
- 特徴: 25個のツール + 53個のスキル、最も機能が豊富
- 注意: Antigravityの無料トークン経由での利用はBAN対象
セットアップ:
npminstall-gopenclaw@latest
openclawonboard--install-daemon
openclawgateway--port18789--verbose
ウィザードが起動し、APIキー・チャネル・スキルを対話的に設定できる。
PicoClaw(超軽量・Go製)
- 対応チャネル: Telegram, Discord, QQ, DingTalk
- 言語: Go
- メモリ: 10MB以下(OpenClawの1/10以下)
- 起動時間: 1秒以下
- 特徴: $10のハードウェアでも動く超軽量版
GitHub Stars 5,000を4日で獲得した話題のプロジェクト。8GBどころか、Raspberry Pi級のデバイスでも動作する。
MimiClaw(チップで動く)
- 対応チャネル: カスタマイズ可能
- 言語: 純粋なC
- ハードウェア: ESP32-S3マイクロコントローラー($5)
- 特徴: Linux不要、Node.js不要、サーバー不要
ZeroClaw(Rust製・最小バイナリ)
- 対応チャネル: Telegram, Discord, Slack
- 言語: Rust
- バイナリサイズ: 3.4MB(OpenClawの28MB+の1/8)
- メモリ: 7.8MB(OpenClawの194分の1)
- 特徴: 22以上のLLMプロバイダー対応
NanoClaw(コンテナ型・セキュリティ重視)
- 対応チャネル: WhatsApp
- 言語: Python (Anthropic Agents SDK)
- 特徴: Docker コンテナで隔離実行、セキュリティ重視
IronClaw(チーム・プロダクション向け)
- 対応チャネル: 主要プラットフォーム対応
- 言語: Rust
- 特徴: Near AI開発、監査可能なコード、プロダクション品質
比較表
| ツール | 言語 | メモリ | Discord | Slack | 低スペック対応 |
|---|---|---|---|---|---|
| OpenClaw | TypeScript | 100MB+ | o | o | △ |
| PicoClaw | Go | <10MB | o | – | ◎ |
| MimiClaw | C | 極小 | – | – | ◎($5チップ) |
| ZeroClaw | Rust | 7.8MB | o | o | ◎ |
| NanoClaw | Python | 中程度 | – | – | △ |
| IronClaw | Rust | 中程度 | o | o | o |
8GB PCで使うなら: PicoClawまたはZeroClawが最適。メモリ10MB以下で動くため、Antigravityと同時起動しても余裕がある。
OpenClaw系を安全に使う方法
OpenClaw系ツールをAntigravity経由で使うとBANされるが、自分のAPIキーを直接設定すれば安全に使える。
安全な設定方法
# OpenClawの場合
openclawonboard
# → Model providerの選択画面で「Anthropic」または「Google (API Key)」を選択
# → 自分のAPIキーを入力
# → Antigravityのトークンは使わない
重要: プロバイダー設定で以下を避ける:
- ❌
Antigravity/Google (OAuth)— BANリスク - ⭕
Google (API Key)— 自分のGemini APIキーを使用 - ⭕
Anthropic— Claude APIを使用 - ⭕
OpenAI— GPT APIを使用
OpenClawの公式ドキュメントでも、Antigravityをモデルプロバイダーとしてサポートしていないことが明記されている。
8GB PCでの推奨構成
低スペックPCでAIエージェント環境を構築する場合の推奨構成:
メインエディタ: Antigravity(Gemini 3 Pro無料枠 or 有料APIキー)
チャット連携: PicoClaw or ZeroClaw(メモリ10MB以下)
モデルプロバイダー: Gemini 2.5 Flash($0.30/100万トークン、最もコスパが良い)
この構成なら: – Antigravity: 約2〜4GB使用 – PicoClaw: 約10MB使用 – OS + その他: 約3GB – 合計: 約6〜7GB → 8GBに収まる
まとめ
Antigravityは8GB PCでも動く無料のAIエージェント環境だ。ただし、以下の3つを守ることが大前提になる:
- AntigravityのOAuthトークンを第三者ツールに渡さない
- 有料のGemini APIキーを自分で取得して設定する
- AI開発用のGoogleアカウントを個人アカウントと分離する
Discord/Slackとの連携はMCPサーバーかOpenClaw系ツール(PicoClaw推奨)で実現できる。OpenClaw系も必ず自分のAPIキーを設定すること。
AIコーディングツール比較ではAntigravityを含む各ツールの性能比較を、Claude Code完全ガイドでは競合のClaude Codeについて詳しく解説しているので、併せて参考にしてほしい。



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